二つの映像作品、及びWebサイトによって構成される。二つの映像はそれぞれ、モンスターレーダーのプレイ画面と一人称視点の映像を組み合わせたもの、実際に行ったパフォーマンスの一人称視点の記録映像、Webサイトはこのパフォーマンスについてのテキストである。 本作品は、神奈川県の県境から南下して慶應義塾大学の湘南藤沢キャンパスまで歩く間、モンスターレーダー(現実の店舗情報に紐付いた「モンスター」をARを使って捕獲する位置情報ゲーム。ポケモンGOと似ている。)でのゲーム内の地図と、現実の間にズレがあるもの(お店が閉店している、他のお店になっている…etc)を見つけ、そのズレている「モンスター」を捕獲していく、というパフォーマンスである。 <いま・ここ>を常に指し示すGPS(あるいは地図上のイメージ)、しかしそれは8年前に終わってしまった情報、イメージであり、現実のとの間には断絶がある。もう一つの新星、一度現実を全て写した新星、それは廃墟となって、かつて=そこにあった、という痕跡を指し示す。現実の私が8年前に接続され、そしてその8年前にしたがって現実を歩く。例えば、その目の前の理髪店が昔、コンビニであったとする。確かに、目の間の店には、その過去、コンビニであった、というその要素が存在する。店舗の大きさ、建物の構造、ガラスの配置。ARによって出現する「モンスター」はかつてあったものの象徴として空中を漂う。そのズレを捕獲し、回収していく。